皆さんこんにちは。THE TREAT DRESSING長野店の樋口と申します。私たちが大切にしている”Dress the Life“という言葉。
全てのお客様に対して忘れてはならない私たちの使命です。この言葉の力を実感できたエピソードをご紹介します。

そのご新婦様との出会いは昨年の夏でした。
モデルのようなすらっとしたご体型に美しい黒髪、それはそれは容姿端麗なご新婦様で、お会いした瞬間にお召しいただきたいドレスが浮かび、その着姿にときめきを感じたことを今でも覚えています。携帯電話の待受が家族写真で、お話からもとても仲の良さが伝わってきました。
東京在住でありながら毎週長野に帰省されるというお話から、実はお父様がご病気で入院されていることを知りました。とても楽しそうにドレスをお召しくださり明るくお話くださるご新婦様の様子を見ていると、正直この時は、そこまで大変な状況だとは思いもしませんでした。

しばらくして担当プランナーさんから、お父様の病状が悪化し、結婚式までもたないかもしれないという連絡が入りました。お父様にはご新婦様の花嫁姿を見て頂きたいし、と心残りが無いように、私たちができるお手伝いはしたいと思いました。私たちだけでなく、ヘアメイクさんやカメラマンさん、多くのスタッフの協力をいただき、挙式会場で家族写真を撮影することになりました。

外出許可が出た限られた時間で、お父様にはモーニングの試着をとお伝えし、会場にお越しいただきました。車椅子にお座りいただいたまま、痩せたお父様のお身体に負担が無いようにモーニングをお着せしました。挙式会場で待つご新郎ご新婦様の元へお支度を終えたお父様が向かいました。扉が開いた瞬間は、今でも忘れられません。この瞬間を迎えられた安堵と、どうか式当日も同じお姿を見ていただきたいという思いから涙が止まりませんでした。それから1ヶ月も経たない内に、お父様が他界されたとのご連絡が入りました。
だた、お父様のためにもと、結婚式を見送ることなく、おふたりは準備を頑張って進めてくださいました。
結婚式当日、ご新婦様が手紙を読まれるタイミングでこっそり披露宴会場に入りました。その手紙の中で、当初結婚式はするつもりがなかったおふたりが、お父様にドレス姿を見せたいという想いから結婚式に対して前向きになれたことや、会場にいるはずのない私への感謝の思いを綴ってくださっていました。ウェディングドレスには想像以上に人生を豊かにするパワーがあるのだと改めて感じた瞬間でした。ですが、ウェディングドレスだけではなくコーディネーターである私たちがいるからこそ”Dress the Life“が体現できるのだと思います。
それこそが、この仕事の魅力なのかもしれません。

お式から2ヶ月程経ちますが、おふたりとは今でも連絡を取り合っています。長野にいらした際は必ず会いに来てくださり、スタッフとお客様以上の大切な関係を築けていることを有り難く嬉しく思います。お客様の人生を彩るはずの私自身が豊かな気持ちになる、そんな出会いが沢山あるからこそ、ブライダルの仕事は辞められないなとつくづく思います。

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